こちらは後編です。
<登場人物紹介>
ジュニア先生:大阪で2,000人以上の生徒が集まる、開智総合学院の塾長。
たまちゃん:とある塾の教室長で塾の経営について学ぶインタビュア。
たまちゃん:
前回入塾テストに関してお話しをお聞きしました。
ジュニア先生の塾では入塾テスト以外にも、「入塾の掟(オキテ)」というものがあるそうですね。
どういったものなのでしょう?
ジュニア先生:
入塾時に、生徒、保護者と読み合わせをして確認する、オキテです。
たまちゃん:
塾則みたいなものでしょうか?
ジュニア先生:
塾則といえば塾則ですが、やっぱり「オキテ」と呼ぶのがしっくりきます。
たまちゃん:
何か、特別な想いのようなものがあるのですね。なぜ「オキテ」を作られたのでしょうか?
ジュニア先生:
塾に通って成績を上げるには基礎学力だけでなく、本人のやる気が大きく関係します。
でも、入塾面談で「キミはやる気がないから塾には入れません」と断れば本人を傷つけてしまう。
そこで、自分から「やめておきます」と断ってもらえる、そういう仕組みを作りたいと考えました。
塾に通う上での「オキテ」を、本人と保護者の前で読んで、同意してもらった上で入塾してもらうようにしました。
たまちゃん:
具体的にはどのようなものなのでしょうか。
ジュニア先生:
抜粋ですが、こんな感じです。
次のような方は入塾されても、成績は上がらず、授業料が無駄となります。
入塾を再度検討してください。
□成績を上げようという意欲がない人
塾に入ってさえいれば成績があがると勘違いされる方がいますが、それは間違いです。あくまでも自分から伸びようとする気持ちがない限り、いくらすばらしい授業や教材を用いても、全てが無駄になってしまいます。それは、あなたに苦痛を強いるだけでなく、先生の意欲も削ぐ結果になり、塾にとっても、ご家庭にとっても良い結果は生まれなくなります。成績をあげる意欲がない人は入塾をご遠慮ください。
□努力する意志がない人
努力する意志がない人は入塾しないで下さい。塾生は下記のことを最低していただきます。
①授業中は先生の話を集中して聞き、一生懸命問題を解くこと。
②宿題は必ずしてくること。万一忘れた場合は居残りでして帰ること。
③小テストで不合格の場合は居残りでやり直しをして帰ること。
④定期テスト2週間前からは、通塾時間も含め1日3時間以上勉強すること。
⑤先生の言うことは素直に聞くこと。
中学生なら誰でもできることですが、上記①〜⑤をきっちりできない人は入塾しても成果がでませんので、入塾を考え直してください。
□クラブと両立する自信がない人
クラブがしんどいからといって、休みがちになる方や、学習がおろそかになる方はまず成績は上がりません。当塾では「学生の本分はクラブではなく勉強」だと考えています。もちろん、塾ではクラブと両立ができるような学習システムにしてありますが、クラブと学習を両立するためには、生徒自身の努力と自制心が必要となります。クラブとの両立に自信がない人は成績が伸びませんので入塾を考え直してください。
たまちゃん:
なかなか厳しい内容ですね!
ジュニア先生:
これを保護者の方の前で読んで、生徒ができると思えば、項目ごとに「はい」と声に出して返事をしてもらっています。場合によっては「なぜ生徒にこのようなことを求めているのか」を話します。
たまちゃん:
全員がこの「オキテ」に納得して「はい」と返事してくれるのでしょうか?
ジュニア先生:
もちろん「うーん」と悩んでしまう子もいます。その場合は、「全然かまわない。また先生と頑張ってみたいと思った時おいで」と声をかけて、入塾面談は終了します。
たまちゃん:
「はい」と言えない子には、それで終わってしまうのですね。
ジュニア先生:
このオキテのやり取りで、これらから先の生徒との関係性の第一ボタンがかかるのです。大人と子供として接するというよりは、人と人との関係性。凛として、大人として接する。そういう入塾面談をしています。