
※舞田メモとは
大阪大学卒業後、個別指導塾を経験。
現在は大手出版社にて勤務する傍ら、教育系の記事執筆などを行っている舞田が、塾業界を学びながら少しずつ掴んできた「現場のリアル」をお届け。
本コーナーでは、舞田先生が塾経営の基礎知識や背景を自分なりにまとめた記録をお届けします。
「正解」より「気づき」を共有する——そんなスタンスで綴っています。
「ブランディングって、うちみたいな小さな塾には関係ない話だよね?」
「立派なロゴを作ることでしょう?」
「結局、予算がないとできないんじゃないかな…」
こう感じている先生に、一つ質問させてください。
「先週、塾に問い合わせの電話をくれた保護者が、どんな印象を持って電話を切ったか、分かりますか?」
ブランディングとは、ロゴでも広告でもありません。生徒や保護者が塾に触れるすべての瞬間に積み重なる「印象」を、自分たちの意図した方向に育てていくことだと、私は考えています。
だとすれば、電話対応の声のトーン、教室の入口の掲示物、面談後にひとこと送るLINE——それがすべてブランディングです。お金は関係ありません。
この記事では、今日から始められる「接点の整え方」を具体的にお伝えします。
ブランディングとは「印象の伝達」である
前回の記事(差別化が難しいと感じたら)では、「うちらしさ」を発見することをお伝えしました。今回はその続きです。
「らしさ」を発見しても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。ブランディングとは、発見した「らしさ」を、あらゆる接点を通じて一貫して伝えていくことだと私は考えています。
どれだけ良い指導をしていても、電話対応が雑だったり、教室が乱雑だったりすれば、良い印象は生まれません。逆に、授業以外の小さな接点が丁寧であればあるほど、「この塾は信頼できる」という印象が積み重なっていきます。
まず「接点」を書き出してみる
ブランディングを始めるために最初にやることは、「保護者や生徒が塾に触れる接点」を洗い出すことです。
主な接点を挙げてみます。
- ホームページ・ブログ
- チラシ・ポスティング
- Googleマップ・口コミ
- 問い合わせ電話・メール
- 入口・看板・外観
- 教室内の掲示物・清潔感
- 最初の体験授業
- 保護者面談
- 日常的な連絡(プリント・LINE・電話)
- 卒業後の関わり(合格報告など)
これだけ多くの接点があります。どこか一つが良くても、別の接点で「あれ?」と感じさせてしまうと、積み上げてきた印象が崩れてしまいます。
接点チェックリスト
以下の項目を「できている ◯ / できていない × / 分からない △」でチェックしてみてください。
第一印象(知る・問い合わせる)
- ホームページに、塾の「想い・方針」が自分の言葉で書かれている
- Googleマップの写真が1年以内に更新されている
- 問い合わせ電話は、3コール以内に出ている(または折り返しが当日中)
- 電話対応の第一声が、明るく聞こえる
来塾・体験(確かめる)
- 入口・玄関が清潔で、今月の情報が貼ってある
- 体験授業後に「いかがでしたか?」のフォロー連絡をしている
- 体験後に渡す資料に、料金・方針・次のステップが明確に書かれている
在籍中(信頼を深める)
- 授業以外で保護者と話す機会を、定期的に設けている
- 成績や様子の変化を、保護者に自分から先に伝えている
- 生徒の名前を、毎回必ず呼んでいる
卒業・退塾後(記憶に残す)
- 合格・進学の連絡をくれた卒業生に、丁寧に返信・お祝いをしている
- 退塾した生徒にも、感謝の言葉を伝えている
×や△が多い項目が、今日から手をつけられるブランディングです。
「旗印」を一文で書いてみる
チェックリストで接点を整えたら、次に「どんな印象を目指したいか」を言葉にしてみましょう。
「うちの塾は、○○な生徒・保護者に、○○と感じてもらえる塾でありたい」
この一文が、塾の「旗印」です。ロゴより先に、この言葉があることが大切です。
旗印があると、日々の小さな判断の基準が生まれます。「この電話対応は、旗印に合っているか?」「この掲示物は、伝えたい印象と一致しているか?」——そう問い直せるようになると、塾全体の接点が少しずつ揃っていきます。
まとめ:ブランディングは、接点の積み重ね
立派なロゴや大きな広告は、ブランディングの手段の一つにすぎません。それより先にやるべきことは、生徒や保護者が塾に触れるすべての接点を丁寧に整えること、そして「どんな塾でありたいか」を言葉にすることです。
今日できることは、チェックリストの×を一つ直すことだけでも十分です。
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