
※舞田メモとは
大阪大学卒業後、個別指導塾を経験。
現在は大手出版社にて勤務する傍ら、教育系の記事執筆などを行っている舞田が、塾業界を学びながら少しずつ掴んできた「現場のリアル」をお届け。
本コーナーでは、舞田先生が塾経営の基礎知識や背景を自分なりにまとめた記録をお届けします。
「正解」より「気づき」を共有する——そんなスタンスで綴っています。
「最近、チラシを配っても反応がない」
「以前より問い合わせが減ってしまった」
「体験申込が10件あった時代が、今は1件あるかないか…」
そんな声を耳にする機会が増えました。
確かに、ポスティングや新聞折込などの紙媒体は、保護者の目に触れる機会こそあるものの、それだけで完結する時代ではなくなりつつあります。
ただし「チラシ=時代遅れ」と切り捨てるのは早いと思います。
大切なのは「チラシに何を期待し、どのように活用するのか」という設計の視点です。
この記事では、私自身が塾業界で学びながら整理してきた「2025年に適したチラシ集客戦略」をまとめました。
チラシの反応に悩んでいる方にとって、ヒントになれば幸いです。
学習塾のチラシの反応が下がる理由とは
チラシの効果が以前ほど出なくなった背景には、いくつかの環境変化があります。
・保護者の情報収集の中心がSNSや検索に移った
・「地域No.1」「合格実績多数」といった抽象的な訴求が増え、差別化が難しくなった
・電話以外の行動導線(LINE登録・Web申込など)が設計されていない
かつては「近所だから」「友達が通っているから」といった理由でも選ばれました。
けれど今は、「調べて、比べて、納得して」から動くのが当たり前です。
つまり、チラシは“見せて終わり”ではなく、“検索・登録・体験”へ自然につなぐ仕組みを持たなければ、成果につながりにくい。
その点に気づけていない塾ほど、反応率が下がってしまっているように感じます。
学習塾のチラシの役割は「認知と動線設計」へ変化している
2025年のいま、チラシが担うべき役割は大きく2つに整理できます。
・存在を知ってもらう(認知)
・次の行動を迷わず促す(導線)
最終的に問い合わせや体験申込を得るためには、LINE・SNS・ホームページといった「“他のメディア”と連動させること」が不可欠です。
チラシを起点にLINE登録や問い合わせフォームへ誘導し、その後は情報配信やフォローで関係を深める。
この「チラシ × デジタル」の組み合わせが、現代の塾集客における必須戦略だと私は考えています。
2025年の塾チラシで抑えるべき7つの戦略要素
戦略1:目的・ターゲットを明確にする
「誰に、どんな行動をしてほしいのか」——この問いに答えられないチラシは、反応が薄いものです。
・小学生の勉強習慣を訴求するのか
・中学生の定期テスト対策を訴求するのか
・ゴールは体験申込なのか、LINE登録なのか
目的を先に定めることで、内容やデザイン、配布時期まで一貫性が生まれます。
戦略2:時期とキャンペーン訴求を連動させる
チラシは「出す時期」で反応が大きく変わるのはご存知ですよね。
でも、ただ同じチラシを出していませんか?
・新学期(3〜4月)
・夏期・冬期講習期(6〜7月、11〜12月)
・定期テスト前後(5月・10月など)
このタイミングに、「今申し込む理由」を添えると、問い合わせの動機づけになります。
例えば、
「春期講習◯月◯日スタート!体験から申込で入会金無料」
「テスト前限定!定期対策コース受付中」
などです。
戦略3:構成とデザインを自社で考える
「業者に丸投げ」では、保護者に響くものは作りにくいです。
日々保護者と向き合っている先生の視点を反映させることが大切です。
具体的には、キャッチコピー → 成果事例 → 行動導線という流れを意識します。
・一言で価値が伝わるキャッチコピー
・成績アップや合格実績などの具体例
・教室や生徒・講師の写真
・色数を絞った整理されたレイアウト
第一印象で「うちの子に関係ありそう・相性が良さそう」と思わせられるかどうかがカギです。
戦略4:数字と声で信頼をつくる
信頼を得るには「具体的な変化」が伝わることも重要です。
・成績の推移(例:英語54点→86点)
・合格者の数(例:○○高校に12名合格)
・在籍校や通塾者の割合
・保護者のコメントやアンケート
抽象的な「成績アップ」ではなく、数字や声で裏づけると説得力が増します。
戦略5:ユーザー体験を追求する
「見て終わり」にならないように、動きを後押しする設計が大事です。
・LINE登録のQRコードを大きく掲載し、登録後の流れも示す
・Webフォームや電話番号もQRなどを使って1秒でできるように
・LINEからの申し込みで入会金無料など特典を用意
ハードルを下げて「とりあえず動いてみよう」と思わせる工夫が欠かせません。
戦略6:配布方法とエリアの見直し
チラシの効果は配布チャネルやエリアによっても左右されます。
・ポスティング(地域密着型)
・新聞折込(広域で中高年層狙い)
・学校前での手配り(学区を直接ターゲットに)
エリア分析をする際には、生徒の住所分布や通塾圏、競合塾の位置関係を地図化することが有効です。
戦略7:PDCAを回す仕組み化
チラシは「出して終わり」ではなく「改善前提の試行」が必須です。
電話が来た時に、どこで知ったのか確認していますか?
無料体験の時にチラシを持ってくることをお願いしていますか?
この確認がまずは一歩目です。
・配布枚数と問い合わせ数の記録
・配布エリア別の反応率を可視化
・キャッチコピーや構成パターンのA/Bテスト
記録と改善を繰り返すことで、チラシの投資効率は着実に上がります。
一つの正解例:チラシ×LINE×SNSの“集客3点セット”を設計する
いま成果を出している塾は、チラシだけで勝負していません。
・チラシ:認知とLINE登録への導線づくり
・LINE:体験案内・申し込み・継続フォローの基盤
・SNS:教室の雰囲気や価値観を日常的に発信
もちろんこの3点にこだわる必要はありませんが、
・チラシで興味関心を引くこと(つながる)
・LINEで継続的に連絡できる状況を作ること(育てる)
・SNSでうちの子に合うと思わせること(後押しする)
この3点を組み合わせることで、「見て終わり」ではなく、「つながり、育て、体験へ後押しする」仕組みが完成します。
開智の成功事例
開智でも、かつては地域密着型の学習塾らしく「口コミ」や「紹介」が集客の中心でした。
実際に昨年度も、紹介によるお問い合わせは360件と非常に多く、信頼の厚さが数字に表れています。
しかし注目すべきは、ホームページからの問い合わせが370件と、それ以上に最も多かったことです。
またチラシやハガキだけで直接問い合わせが入ったケースは84件にとどまりました。
上記の中には、ホームページでの問い合わせで「チラシやハガキを見て連絡した」と記載する方も非常に多いです。
つまり紙媒体単体で完結するのではなく、最終的にはホームページが判断の決め手になっていることが分かります。
この結果から見えてくるのは、チラシや口コミは“入口”であり、最終的な集客の成否を分けるのは「HPでの情報発信・導線設計」だということです。
開智ではこの構造を理解し、紙媒体や口コミとHPをつなげる仕組みを強化することで、安定した問い合わせ・入会を実現しています。
まとめ:チラシを“入口”に、勝負はそこから
チラシは「もうやめるべき手段」ではありません。
ただし、“チラシだけ”に依存していては成果が出にくい時代です。
2025年の塾集客は「どんなチラシを出すか」ではなく、「チラシからどこへつなげるか」が成果を分けます。
紙の強みを生かしつつ、WebやLINEと組み合わせた全体設計が、これからのスタンダードになるはずです。
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