
大手塾の看板が増えるたびに、「うちなんて敵わない」「生徒が取られてしまうかも」と不安になる…。
特に開業したばかりの頃は、自分の弱みばかりが目について、気持ちが沈みがちです。
でも、視線を競合に奪われ続ければ、自分の強みを見失ってしまうもの。
では、どうすればその不安から抜け出し、教室を伸ばしていけるのか――。
今回は、その答えを実践で見つけたジュニア先生にお話を伺いました。
<登場人物紹介>
ジュニア先生:大阪で2,000人以上の生徒が集まる、開智総合学院の塾長。
舞田 理絵:大阪の大学を卒業後、教育系出版社で編集に携わる。学生時代から個別指導塾で講師を務め、教室長も経験。現場での経験をいかし、教育に関する記事も執筆している。
舞田:
「近所に大手の塾が進出してきて、自分の教室の生徒が減ってしまうのではないかと不安になる」というような声をよくお聞きします。ジュニア先生は、そのような経験はありますか?
ジュニア先生:
ありますよ。駆け出しの頃、一緒に教室をしていた兄が急逝し教室運営が大変だったとき、近所の大きなビルに大手のM塾が鳴り物入りで進出してきました。私の教室で成績トップだった生徒がやめてしまって、その塾に移った時はショックでした。
舞田:
それはショックですね。
ジュニア先生:
はい。毎日「自分の教室がつぶれるのではないか」というような心配で、夜も寝られないような状況でした。
舞田:
大変な状況ですね。その大手塾進出に対して、何か対応策はとられたのでしょうか?
ジュニア先生:
はい。その塾を見ないようにしました。
舞田:
「見ない」というのは、どういうことですか?
ジュニア先生:
文字通りです。その大手塾の教室の前を通らないようにしていました。用事で出かけないといけない時も、わざわざ遠回りして、絶対にその大手の教室が目に入らないようにしていました。
舞田:
なぜそんなことをしたのですか?
ジュニア先生:
これはある先生からアドバイスいただいた言葉なのですが、「塾がつぶれる時は自滅が原因」なのです。その時、「他塾につぶされる」ことに怯えていた自分は、実は「自滅する」思考回路に入っていた、と気づいたのです。
舞田:
「自滅する」思考回路って、どういう思考なのでしょう?
ジュニア先生:
うちの塾は、裏通りにあって、立派な建物でもありません。進学実績も太刀打ちできないし、私自身、華々しい経歴があるわけでもありません。大手の進学塾と比較すると見劣りする事ばかりで弱気になっていました。弱気になると不思議なものでどんどん悪いことばかり考えてしまいます。大手は広告費もたくさんかけられるし、トップの子供達が集まっていて広告塔になるような子もたくさんいる。口コミでも到底かなわない。こんなことばかり考えて、モチベーションもどんどん下がってしまいました。そんな折、「塾がつぶれるときは自滅」というアドバイスをいただいたのです。
舞田:
なるほど。
ジュニア先生:
塾がつぶれるときは、「自滅」が原因。この言葉は本当に納得感のあるものでした。自分のような心持ちでいるから自滅するのだと。そこで、周りの塾を見る事を止めました。当時、私は若くて、地域のどの先生よりも元気で情熱があることには自信がありました。ですから周りは一切気にせず、思いっきり楽しんで教えてやろうと決めて、生徒の成績を伸ばすことだけを考え、生徒達と頑張り続けていきました。
舞田:
その結果はどうでしたか?
ジュニア先生:
結局、やめた生徒はその一人だけでした。むしろ、大手じゃなくてアットホームなここがいい、と生徒が増えていきました。私は当時、受験指導は苦手でした。ですから、定期テスト対策を子供達と必死でやりました。みんなで自己ベストを取ろうと話して、休みの日は1日中、お菓子やお弁当を持ち込んで頑張りました。すると、定期の成績アップでは、私の塾が凄いということになり、定期テストを伸ばしたい子供達がどんどん来てくれるようになりました。
舞田:
結果として、自分の得意なことに集中したのですね。
ジュニア先生:
得意というか、自分ができることはそれしかないので。それで、成績アップの結果とみんなからの声、生徒達の元気一杯の様子を写真で撮って広告に載せました。それがまた評判になりました。
舞田:
やっぱり、得意なことにこだわったのが良かったのでしょうね。他塾のことを気にするより、自分の教室の得意なことを極めることが大切ということですね。
ジュニア先生:
もちろん、他塾の情報を知ることは大切です。私も広告やHPなどで、他塾の価格やコース設定を見て、相場感やトレンドは気にかけています。でも、順序があって、まずは自分の教室の得意なところに磨きをかける。他塾の情報分析はその後なのです。塾経営で怖いのは、周りの塾を気にしすぎて、それに飲み込まれて自分達の良さを見失ってしまうことなのです。周りの塾を見る以上に、自分の塾を見る。何が強みで、何を喜んでもらえているのか。その上で、それをもっと強力にする方法、もっと世間に訴える方法はないのかを考える。この順序を間違えないことが重要だと思います。
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