入塾テストは必要?(前編)/一代で生徒数2000人の塾を作った塾講師が語る

「成果が出ない生徒」や「早期退塾する子」 に頭を抱えていませんか?

生徒数に余裕がないと、どんな子でも受け入れ、できるだけ辞めさせないようにするでしょう。
しかしそれが、講師に必要以上に負担をかけ、しかし評判は低下するなど、逆効果を生み出しているかもしれません。

そこで今回は、2,000人規模へ伸ばしたジュニア先生が、生徒の質を高めるための方法をご紹介します。

<登場人物紹介>
ジュニア先生:大阪で2,000人以上の生徒が集まる、開智総合学院の塾長。

たまちゃん:とある塾の教室長で塾の経営について学ぶインタビュア。

たまちゃん:
ジュニア先生の塾では入塾テストをされているとお聞きしました。
最近は入塾テストを行わない塾も多いと思いますが、塾を始められた当初から入塾テストはされていたのでしょうか?

ジュニア先生:
いえ、最初、塾をやり始めた時には、入塾テストは行っていませんでした。
入塾テストをするようになったのは、3年目くらいからだと思います。

たまちゃん:
何かきっかけがあったのでしょうか?

ジュニア先生:
ある保護者の方と面談で話をしていたとき、「塾として頑張ってくれているのはわかるけれど、成績が伸びていない」というクレームをいただきました。
「学校の先生から、通っている塾がダメなんじゃないのかと言われた」とおっしゃるのです。
「学校の先生が、自分が塾の先生なら絶対に成績伸ばせると言っている」と。

悔しかったですね。

お金をいただいて教える仕事をしているわけですから、絶対に成果を出さないとダメなのだとつくづく思いました。

たまちゃん:
それは、なかなか厳しいクレームですね。

ジュニア先生:
それで細かい指導の仕組みを工夫していったのですが、その中で、「定期テスト20点の子を30点とれるようにする指導」と、「50点の子を60点とれるようにする指導」「80点の子を90点とれるようにする指導」は全く違うものだという結論になりました。
どうしても「20点の子を30点とれるように」というところにパワーをそがれると、他の生徒に迷惑をかけてしまう。
それで、やはり、入塾テストをしてお断りしようと。

たまちゃん:
入塾テストの点数でお断りすることに、後ろめたさはないですか?

ジュニア先生:
ありますよ、もちろん。
地元密着の塾ですからね。
塾の経営的にも生徒数は欲しいですし。
ただ、自分の教室の特性を考えた時、合わない場合にはきちんとお断りする方が生徒にとっても教室にとっても幸せなのです。
もしあなたがラーメン屋をしているとして、「うどんが食べたいです」というお客さんが来たら断りますよね。
「うちはラーメン屋ですから」って。

たまちゃん:
確かに、そりゃそうですね。(笑)

ジュニア先生:
プロの先生ならわかっていただけると思いますが、生徒のレベルによって、指導内容はうどんとラーメンくらい変わります。
特に会社の規模が小さい場合、「ラーメン専門」「うどん専門」にしないと、店がつぶれてしまいます。

たまちゃん:
その意味で入塾テストは必要だったわけですね。

ジュニア先生:
そうですね。
あと、入塾テストがあることによって、生徒が「覚悟を持って入塾してくれる」という面も大きいですね。
「この教室で頑張るぞ」と思ってくれますからね。

たまちゃん:
入塾テストを行うようになったのは、ジュニア先生の教室が集団指導メインだったことも関係しますよね。
個別指導専門塾だと話は変わりますか?

ジュニア先生:
もちろん、個別指導専門の教室だと、個別対応可能な割合が大きくなりますから、入塾テストの必要性はそこまで大きくないと思います。
ただ、その場合であっても、その教室の特性、特に教室長の特性によって得意とする領域は絶対変わります。
塾の経営をされている方には、「入塾希望の生徒を断らない」ことの危険性を知っておいてほしいですね。

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